第1話:キャバがうじゃうじゃ・・・。
それは、一通のメールをいただいたことから始まった・・・。 「帝釈峡キャンプに来ませんか?キャバが、うじゃうじゃ見られるよ」 うじゃうじゃ?あぁ、うじゃうじゃなのねーーーっ!? 私の頭の中では、キャバに囲まれハーレム状態の自分の姿が浮かんでは消える。それはまるで、バカ殿コントで芸者をはべらせている志村けんのようだ。 しかし当日はお盆の真っ最中、都合がつくかどうかが問題だ・・・。 役には立たずとも、私は長男の嫁なのだ。 オッ!まてよ、帝釈と言えばウチの実家のお墓があるではないか! お墓参りにいくのだ。なにもうしろめたいことはない! そっと、ほくそ笑む私・・・。 こうなったら、どうもこうもない。 誰が何と言っても行く!行くしかないモンねー。 別の日に嫁業を無事済ませ、すべてがトントン拍子に進み、当日がやってきた。 車内では、「人間より犬が好き」と、堂々と言ってのける母ほか、私を含め女ば っかり5人がもうすぐ遭遇するであろうキャバ天国に心を躍らせている。 無事、到着はしたものの、あいにく雨が降ってきた。 うろうろ、あせってキャバ天国を探す。 あーーーっ!いたいた!
初対面なのに、皆さんに暖かく迎えていただいて心がなごむ。 初めて間近で見るブレンのキャバちゃん! あぁ、なんて可愛いのっ! 初めて会う子達なのに、やはり、そこはキャバ。熱い歓迎「ペロペロ攻撃」を受 け、化粧がどんどんはげていく・・・。 私の素顔を見てしまった皆さんには地獄かもしれないが、やはり私には、ここは 天国だった・・・。 モモのご親戚のキャバちゃん達ともご対面した。ズラリと並んだトライ軍団は言 葉では言い表せないほど可愛い。動くぬいぐるみだ。 はぁ〜〜〜っ。 思い出してもため息が出る。 それから短時間ながらも中身の濃い交流、後ろ髪を引かれながらも、帝釈を後に した。 その日を境に、私と娘の中では「キャバってー、1匹だけじゃ物足りなーい」の 気持ちが、かつて流行った「ヨーグルトきのこ」のように、もわもわと育ってい た。 「もー1匹欲しい」
モモ父は恐れていたそのセリフを、すぐに聞くことになる。 しかーし、モモは「超ウルトラヤキモチ焼き」だ。 私が大事そうに抱えていると、たとえそれが白菜でもヤキモチを焼く。 新しい子を迎えると、どうなるかわからない。 下痢や体調不良を起こす子が多いことも聞いた。 諦めるしかないか・・・。 そう思っていたとき、娘が私にすり寄ってきてこう言った。 「モモに頼もう!」 第一話:おわり |