キャバリアの遺伝性疾患
  僧帽弁閉鎖不全症(MVD) 
角膜ジストロフィーへ

キャバリアと一緒に暮らし始めて、心臓に遺伝性の病気を持った犬種である事を知り、現在比較的短命な犬種である事を知り、その憎っくき【僧帽弁閉鎖不全症】を知ろうと思いました。ちなみに昨年のエコーの結果、ウチのアトリは僧帽弁が少し厚くなっていました。まだ2歳をすぎたばかりの検査です。幸い心雑音はありませんでした。アトリは太りやすいので体重維持に心がけています。定期的な検査は大切です。知らない間に僧帽弁に異常が出ていて知らない間に心臓に負担をかけているかも知れません。そんな事にならない為にも、是非定期的に検査する事をおすすめします。


  心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁という弁の異常で普通は老年期に後天的に発生するものです。特に小型犬に多く、マルチーズ・ポメラニアン・ヨークシャーテリアなどに多くみられます。 私達のキャバリアキングチャールススパニエルでは1歳ですでに33%がこの病気を持ち、4歳以上では60%にもみられます。
  私の信頼する獣医師さんは「老齢で100%の心雑音がみられる」と言っています。実に100%です! それは全てのキャバリアだという事です。

    これはその獣医師さんにいただいたメールです

 キャバリアの弁膜症は、統計学的調査だけではなく、解剖学的、遺伝 学的、組織学的に学説として確立されています。
(文献の代表的なものでは、
Chronic mitral valve disease in Cavalier King Charles Spaniels: 95 cases(1987-1991)
JAVMA Vol 203, No. 7, Octo 1 1993
 などがあります)

 キャバリアの弁膜症の原因は詳しくは分かっていませんが、遺伝的な要因が大きく関係している事は確かです。
 
つまり、キャバリアをキャバリアたらしめている幾つかの遺伝子の中に、心臓の弁膜を形作るムコ多糖体やコラーゲンの生成や発育を阻害する遺伝子が関連して存在するため、程度の差はあれ、弁膜の異常が10歳までに100%の確率で出てきます。具体的には、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症などで、これらの病気は現在の獣医学では完治は不可能で、しかも徐々に進行していきます。

 また、キャバリアに限らずインブリーディングや色素の薄いもの同士のブリーディング(ダックスのシルバーダップル同士、シェルティのブルーマール同士など)でも心臓の異常が出やすくなります。

 また、靭帯の組織もおなじムコ多糖体などでできているため、特に膝のお皿(膝蓋骨)の脱臼が起こりやすいです。逆の見方をすると、膝のお皿がゆるい(腕の良い獣医さんに調べてもらえばすぐに分かります)子は、弁膜症になる確率が高いともいえます。

 ただ、「弁膜の異常がある」イコール「症状が出る」というわけではありません。

 心臓に雑音が出て(つまり弁膜症により心臓の中で血液が逆流して起こる雑音なのですが)も、それが必ずしも「重度のうっ血性心不全を引き起こ」し、「咳が出たり、すぐへばってしまったり、失神したり」という症状を出すまで進行するわけではないということです。何も治療しなくてもある程度の天寿をまっとうするキャバリアもいます。

 しかし、そのような例は少なく、今現在症状が出ていなくても、雑音がすでにあるということは、心臓で血液の逆流が起きているということですから、絶えず心臓には負担がかかっていることに違いありません

 ですから、定期的に心雑音のチェック、レントゲン、超音波、心電図などで病態の進行を管理し、ある時期からは心臓の負担を軽くする薬などを与える必要があります。確かに治る病気ではありませんが、最近は良い薬や検査機械がたくさんありますので、うまく管理する事は可能ですし、寿命を決めるのはあなたの心がけ次第です。

 このあたりはかかりつけの獣医さんと相談してみて下さい。
あと、「角膜ジストロフィ」という目の病気も多いようです。

【僧帽弁閉鎖不全症】の詳しい説明は、
 日本臨床獣医学フォーラム JBVP-Forum

            このリンクは日本臨床獣医学フォーラムの許可をいただいています