号外:『その後の天使達』その2
手柄と言えば・・・。 もしひなに、「ひなさん、7ヶ月間生きてきた中であなたの一番のお手柄はなんですか?」と、インタビューしたならば「そーでしゅね、干からびてペッタンコになったカエルを人間のお母ちゃんに見せてあげたことでしゅかねー?」と、 自信たっぷりに答えるに違いない。 猫がネズミの死骸を持ってくる、とかいうのはよく聞く話だが、まさかこんなに可愛い顔をしたひながそんな事をするなんてっ! ちょんちょんと、私の太もものようなふくらはぎに何かを押しつけてきたので、「ん?」っと、振り返ったら、びろぉぉぉんと、ノビてしまったカエルをくわえて嬉しそうなひながそこにいたのだ。 もちろん、腰ふりダンス付き。 くわえられたカエルも一緒にぷりぷり踊っているようだ。 ギェェェェェェッ!と、逃げ回る私を尚一層嬉しそうにカエルをびろんびろんさせながらひなが追いかけてくる。 これには本当に参った。 仕方ないので、何重にもティッシュを重ねて、手に触れないように取り上げた。 しばらくの間、ひなには顔を舐めさせなかったのは、言うまでもない。 まぁせめて、食べなくて良かったと思うことにする。
トイレも、シーツからはずれることは最近では、まずない。 無駄吠えも少ない。 たまに吠えると、その姿からは予想も出来ない可愛い声で鳴く。 モモ母ちゃんいじめもしなくなった。 「えぇーーっ!そんなの、私が好きな“はな”じゃなーい!」と、お嘆きの方も多いかもしれない。 でも、あの味のある仕草やお顔はそのままなので安心して頂きたい。 娘がいつも「ぶちゃいく」と、からかっていたのを不憫に思い、可愛がっていたせいかはなは一番私に懐いているように思う。 先日、キャバーズ全員を実家に預け私達が買い物に行っている間に私を探して障子を破る、という荒業をはなは、やってしまったらしい。 まるで、ダダっ子な3歳児だ。 犬がだぁぁぁいすきな母は、障子を破ったはなを怒りもせずに、私を探す姿がいかに愛おしかったか私に教えてくれた。 アーモンド型の目、浅いストップ、長すぎるマズル、低い耳付き・・・と、全てがスタンダードに反していても、当然の事ながら私ははなを愛してやまない。 私が掃除機をかけていると、ミルがじわりじわりと、そばに寄ってくる。 身体に掃除機をかけて欲しいのだ。 「ブブブ」と、皮膚まで吸い込んでしまっても、決して嫌がらない。 おすわりをして待っている姿を見ると、気の済むまで何時間でも吸わせてやりたくなる。 しかし、ミルの至福の時は5分程度で終わってしまうのだった。 掃除機を怖がらない・・・というか、大好きなのはこのミルとひなの2匹だけで、母犬のモモと、てんてんと、はなは大変に怖がる。 同じように育ってきたのに、不思議なモノだ。
知らない人には絶対に近寄らないし、シャンプーの時も、 「こ・・・殺される・・・」 と言うような顔でお風呂の隅っこまで逃げていく。 ただでさえ、大きな目がもっと大きくなって充血している。 手こずるのでてんてんのシャンプーはこっちに元気があるウチにと、一番に済ませることにした。 ドライヤーをかけるときには、「超ムカつくーーっ!」ってな顔をしている。 お風呂の外では、「おーい、何やってんのやー?ひとりだけズルイぞー」と、3匹が戸をカリカリやっている。 どうやら順番待ちは出来そうにないのでてんてんを仕上げた後、3匹一斉に お風呂に入れてやった。 1匹洗っていると、どの子かが私の背中によじ登ってきたりして大変だ。 みんな仕上げるまで、合計2時間半。 ヘトヘトだ・・・・・。腰も痛い・・・。 でも、フワフワでサラサラの被毛になった子キャバ達は、触るととても気持ちいい。 手元に4匹の子犬を残したことによって、合計5匹が「ウチの子」に決まった。 ある日ふと「こんなに一度にたくさん飼って、みんな幸せにしてあげられるんだ ろうか?この子達は今、幸せなんだろうか?」と、自分がとても愚かなことをし ているような気がして、たまらない気持ちになった。 誰に言われたわけでも、責められたわけでもないのに、ただただ罪の意識に似た感情がこみあげてきたのだ。 でも、子キャバ達が大きくなるにつれ、そんな気持ちは薄らいでいった。 今思うと、あれは「産後のマタニティーブルー」にも似た感情だった。 子供同士で遊ぶ姿はとても生き生きして楽しそうだ。 顔を見合わせて「やる?」「うんっ!」みたいに示し合わせて一緒にいたずらする仕草も、たまらなく可愛い。 脱走した時も、この調子だったんだろう。 みんな、このままずっとずっと元気で陽気なキャバでいて欲しい。
大阪に行ったトッティは、普段外で排泄しないため、油断したお父さんは何も持たずにお散歩へ行ったらしい。 が、トッティのお腹は気まぐれだった。 やってしまったのだ・・・。 困り果てたお父さんは、なんと素手でトッティの『分身』を掴み、始末したという。 笑える話だが、なんと愛情あふれるエピソードなのだろう。 (お父さん、勝手にこんな事公表してごめんなさい) 回覧板や立て看板で警告されているのも拘わらず、道を歩けばそのまま置き去りにされている犬のフンが、あちこちで見られるが、そう言う人には是非、トッティのお父さんの爪のアカでも、煎じて飲んでいただきたいものだ。 モラルのない人がいると罪のない犬達が嫌われてしまうのだから・・・。 さぁ!!夏本番。 今年はこの子達にとって初めての夏だ。 そうだ!海にでも連れて行ってやろうかな? どんな顔をするのかな・・・・。 たくさんの楽しい思い出が出来るといいなぁー。 【おわり】
|