号外:パート2:『メリーねえちゃんへ』

 今回の号外は、悲しいお話です。 交通事故で愛犬を亡くすのは私個人の意見としては全面的に飼い主の油断に他ならないと思います。 モモ母さんも『「ノーリード」、「油断」がいかに危険か警鐘にはなると思いますが・・・。』と文を添えて今回のお話を送ってくれました。亡くしてしまってから後悔しても遅いって事は頭では分かっていても油断は付いて回ります。あなたの愛するわんの為にも是非気をつけてあげてください。
 事故に遭うのは、ご実家に帰省している時などは多いようです。犬も環境が変わり、ご実家で家に入れて貰えない個も多いようなので、どうしても脱走してしまうようです。そんな話しを度々聞きます。

 主人の一番のお気に入りだった「小さいてんちゃん」が貰われていった先には、とても人懐っこくて元気いっぱいのお姉さん犬、E、スプリンガー・スパニエルの「メリー」がいた。
 '97/12/25日生まれ・・・『メリークリスマス』から、「メリー」と、決まったらしい。

 クリスマスイヴ生まれのウチの子達と、なんだかやっぱり縁を感じる。
「イヴ」と言う名前になったとばかり思っていた「小さいてんちゃん」は、「タイタニックブーム」におされて、なんといつのまにやら「ローズ」(タイタニックのヒロインの名)に決まっていた。

 1才半を過ぎたメリーは、E・S・スパニエルとして、どんどん立派にそして飾り毛も美しく見事に育っていった。
飼い主さん一家も、これからこの子がどんな風に完成されていくのか、楽しみだったことだろう。

 「小さいてんちゃん」=ローズが、メリーの所へ初めて来たとき怖がったのはメリーの方で、自分を追っかけ回すちいさな物体から逃げ回ったらしい。
でも、その日からまだ若いのにメリーは、ローズのお母さん代わりとして常にそばに寄り添い守ってくれたという。

 散歩中、他の犬に会ったらすぐにお腹を見せるローズを発見すると「ローズがいじめられてる!」と、思うのかすぐに突進してきてローズを守ったらしい。
今まで吠えることをしなかったメリーが、人や犬に向かって吠えるようになったのも、ローズの為だったのか・・・・。

 ローズがメリー用の大きなお皿に入ってるフードを食べても怒りもせずに、あんな大きな体で、小さな器の方のフードを食べていたとも聞いた。
なんて、優しいメリー。

 お母さんになったこともないのに、頼まれたわけでもないのに、モモの代わりにお母さんとしてずっとローズを守ってくれたんだね。

 メリーとローズのお散歩風景は、近所でも有名だったらしい。
というのも、ちいさなローズが大きなメリーのリードを口にくわえ、まるで連れて歩いているようだったというのだ。
反対ならまだしも、犬が好きな人が見たら声を掛けずにはいられない、微笑ましい光景だったろう。
私も一度は見たかった。

 ずっと前から、成長したローズの写真が見たくて「一枚くださいね」と、お願いしてあったのだが、それが先日やっと叶った。
お家の外で太陽の日差しがまぶしそうな、メリーとローズの写真だ。
そして、その時5ヶ月ぶりにローズと会えた。連れてきてくれたのだ。

 でももう、ローズはすっかり私達や母犬モモのことなど忘れてしまっていた。当たり前のことだが、寂しい。モモも、私達がローズを抱っこすると「ジェラシーモード、スイッチオン!!」になってしまって、吠えてばかりだ。

 残念なことに、その時メリーには会えなかった。
会えれば、「いつもローズのこと、可愛がってくれてありがとね」と、ほねっこのひとつでもあげたかった。
ずっと気になっていたローズだが、こうしてメリーが守ってくれるんだからお家の人がみんないないときも寂しくなくていいね・・・と、思えるようになった。

なのに・・・・。

次の日、信じられない・・・信じたくない知らせが入った。

メリーが交通事故で死んでしまったというのだ。

「うそぉ・・・・」

 お盆で里帰りしていたその家の玄関から、そっと抜け出しトラックに轢かれたという。
ローズは無事だった。

まだ、2才にもなってないのに。
あんなにやさしい子なのに・・・・。
どうして?どうして??

涙があふれて止まらない。

先日、ウチの子キャバが脱走して無事に帰ってきたのは本当に運が良かっただけなんだと、あらためて思った。

「油断したら、こんな事になっちゃうよ。」
メリーが身をもって教えてくれた気がした。

メリー、優しいメリー・・・ありがとね。そして、安らかにね・・・。

「おかしいなぁ。メリーねえちゃん、どこ行ったちゃったのかなぁ?」
ローズの声が聞こえてきそうだ。

メリーは、ずっとそばで守ってくれてるよ、ローズ。

                         【終わり】

感想はモモ母さんまたはつぼねまで、よろしくっ!


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